「公共的空間を分煙してもタバコの害は防げないー屋内全面禁煙は世界のルール」
第2回タバコフリー学会特別講演抄録



閉鎖空間での喫煙行為を全面的に禁止することが、タバコから放散される発がん物質を含む有害煙の
脅威から人々を守る唯一の手段であり、いま、世界各国はこぞって公共的閉鎖空間の全面禁煙制度の
法制化を進めてきている。わが国では「国がやらないならば私がやる」と公言した松沢前神奈川県
知事に対する強い期待とともに、日本国内での受動喫煙防止条例の成立を強く待ち望んでいた背景も
あり、公共的空間の分煙制度をその柱にした県条例を、日本禁煙学会を中心に、ほぼすべての禁煙
推進団体及び会員が、その内容を吟味して批判することなく、盲目的、しかも熱狂的にそれを支持した。
その結果として、先進国とは全く異なった、喫煙者にタバコを吸う場所を整備提供する分煙制度を容認、
さらに推進する、世界でも極めて特異な国となっている。

都道府県規模では無理解な地元の業界やタバコ会社の強力な干渉のため、合理的受動喫煙防止条例の
成立は難しい。県単位で条例を立ち上げたドイツやスイスでは、いまなお多くの問題を残している。
2010年2月、NHKが朝の放送で「厚生労働省が全面禁煙制度の推進を呼びかけ」との報道に、
「これで日本も変わる」と私は大きな喜びでこの吉報を受けた。しかし、厚生労働省は2010年4月、
分煙の法的規制が発効した神奈川県と相呼応して、喫煙空間の濃度規制の他、分煙制度推進のための
喫煙室の整備に25%補助制度を新設し、さらに2013年4月に助成金を50%まで引き上げている。
世界の政府機関が屋内喫煙空間廃止に懸命に努力していることをあざ笑うかのようである。この措置は
日本が批准したタバコ規制枠組み条約に違反する政策であり、国際公約違反である。

私は2006年以降、海外主要国の喫煙規制の実態をこの目で確認することを主要目的として旅行、その
範囲は欧州、北米、アジア、及びオセアニア諸国を含む。それぞれの国には違った喫煙規制法令があり、
屋内全面禁煙制度の完全実施していない国もある。しかし、それは酒場、カジノに対する例外措置を
講じているためであり、分煙制度をその柱とし、屋内喫煙設備に助成金を出して屋内喫煙場所を確保
整備していこうとする国、州、県はない。今回はなぜ分煙ではいけないのか、屋内喫煙空間を整備する
ことが反健康的な行為なのかの理由を含め、海外での喫煙規制の実態を、日本の実情とも対比させながら
お話ししたい。


講演 医学博士 宮本順伯



第2回タバコフリー学会特別講演抄録
2013年9月15日講演
本文および写真の著作権は宮本順伯に帰属
リンク 自由
The article was written in August 2013, by Junhaku Miyamoto, M.D., PhD.


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