ニュージーランドの禁煙状況報告

禁煙先進国、ニュージーランド

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¢ニュージランドは禁煙先進国

ニュージーランドの公衆衛生学者のNick Wilson(ウェリントン大学医学部)は、「タバコのマーケティング全般を政府が
管理すること」 を提唱している。そして、タバコ税の大幅アップと、税収を禁煙促進に使うことも!
ニュージーランドの禁煙推進の状況は、カナダの次に進んだ国としての情報を得ていました。また、1994年9月に開催
された国際歯科連盟の世界歯科医師禁煙推進部会の会議で、ニュージーランド歯科医師会は1994年4月に「禁煙宣言書」
を発効したこと、そして全会員の診療所や公の場で禁煙運動を展開していることなどを報告しました。 日本の現状報告
をする私の番が回ってくるたびに悲しい思いをせざるを得ませんでしたから、ニュージーランドのこれらの政策を大変
うらやましく思っていました。そこでなんとか現地に視察に行く機会を作り、その実態や、どのくらいの進んだ禁煙の取り
組みがなされているのかを自分の目で確かめてきたいと常に思っていました。今回幸運にも、そのチャンスがめぐって
きたのでした。

¢
ニュージランドは2004年12月から全面禁煙に

禁煙環境改正法」という法律が2004年の12月に出来て、これまで喫煙を制限されていた職場やレストランも 12月10日
からはさらに規制が強化されて、屋内、すべての職場、レストラン、バー、喫茶店、パブ、ナイトクラブ、カジノなども含めて
人の集まる場所に「全面禁煙」という措置がとられていました。その法改正の主目的は、毎年約350人が死亡するとする
“受動喫煙”の被害をなくすことでした。法律に違反した際の罰金は、レストランなどの個人事業者が400ニュージーランド
ドル(1ドル76円であり約3万400円ということ)法人は4000NZドル(30万4千円)となっています。 
法律では、今後屋内で
タバコが吸える空間は、ホテルの客室などごく一部だけになるということでしたが、私が利用したホテルのほとんどの部屋
は禁煙となっていて、入り口のドアーには「SMOKE FRRE(禁煙)」と目立つパネルが貼り付けられていました。では、町での
タバコの販売は?と、くまなく探しましたが私の見た範囲では販売箇所を見つけることは、国際空港内の免税店を除き不可
能でした。


¢ 残念だった日本人の喫煙姿

外国の街角で良く見かけるキオスクもなく、 道路にはタバコの吸殻、ごみなども一切なくとてもきれいでした。歩きタバコも
全く見かけませんでした。しかし、とても残念なシーンが目に飛び込んできたのです。それは、何回となく見かけた現地に
いる日本人の若者たちの喫煙シーンでした。 ニュージーランドには現在、たくさんの日本人留学生がおります。短期の英語
研修も含めて年間、3〜4千名の若者が現地入りしているとのことです。また、他の多くの日本人も居住していて(2001年の
国勢調査では10,002人)、その喫煙率は相当高いと関係者は語っていました。現在はさらに旅行、長期滞在ブームなどで
毎年増加しており、2万人近くになっていると思われ、それに比例して喫煙行為も目立っているとのこと。せっかくのニュー
ジーランドという禁煙推進国を、日本人喫煙者たちが大変な迷惑をかけているということも分かりました。ニュージーランド
から発信している、日本人の英語留学を志す若者向けのホームページには、現地の先生方やアドバイザーの方々が、
「ニュージーランドは、喫煙にとても厳しいので充分気をつけること。願わくは、禁煙してから渡って来てほしい・・」などと
記した注意書にあったのには驚ろきでした。

タバコの値段は、オーストラリアでは2002年現在、一箱が14ドルします。物価からいうと1400円以上な感じですが、いい
ワインが1本買える値段です。箱には大きく『タバコ吸ったらガンになる』、『奇形児が生まれる』、『人を殺す』などという
警告表示があります。一般的なアルバイトの時給は14ドルですから、値段の高さが想像できるかと思います。

¢ 低学年から禁煙教育徹底


11年間英語教師をして、日本人音楽家の奥様と結婚、帰国してからも日本人学生に英語を教えているファレルクレアリー
さんは、「ニュージーランドでは小学低学年の頃から禁煙教育が行われていますから、タバコを吸っていると、突然子供に
説教されたり、「人がいないところでタバコを吸えば」とか、あるいは「体をこわすのでもうやめたら」などと、はっきり注意し
たりします。特に女の人は家の中でタバコを吸われるのを、ものすごく嫌がります。たとえ自分がヘビースモーカーであって
も、家の中では吸わないのです。一般的に皆さんお家の中はきれいにしていますので、ヤニや臭いが付くのを極端に避け
ます。日本人はタバコに対して寛容なので、つい無意識に吸ってしまいがちですが、こちらの人にとって、部屋でタバコを
吸われるのは、最初に吸ってよいと言われない限り、ものすごい迷惑行為になります。一般家庭を訪問したり、ホームステイ
などしたりされた時は特に気をつけられる方がよいと思います。これからはますます喫煙することに対する風当たりは厳しく
なりますよ。「煙草やめられない。中毒ですか?その人たちは今、巻き煙草のほうがちょっと安いので、お金がない人は
自分で巻いて吸っていますよ。」などと話してくれました。


 
日本人の喫煙シーン

目立つ場所に英語とマオリ語で表示された警告大看板

どのタバコにも警告の表示がされている

目立つ場所に英語とマオリ語で表示された警告大看板

自分で巻いて作る少し安価な煙草セット (左下)タバコのきざみ (左上)巻紙 (右下)フィルター


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2ヶ月間 オークランドに長期滞在

今度は、2005年6月からの約2ヶ月(冬の季節)、オークランドでの長期滞在中のにじっくり現状を見つめて
みることにしました。まずは、私が見てきた、体験した範囲でのオークランドでの喫煙事情をお知らせします。

2月の報告にもありますが、ニューージランドの法改正で、喫煙規制される場所にバー、カジノなども加わりました。
ホテルも入り口から全館完全禁煙との表示がありますので、ニコチン依存症の人は、寒い室外に出てきて吸って
います。現地の人は少ないのですが、日本の若者や英語学習のために来た留学生は道で、そして日本食専門
店の前で、その店の調理用白衣を着た若い日本の男女店員が入り口付近で、堂々と吸っていました。オーク
ランド大学で見たことですが、外のベンチに座った若い外国女性は、まずサングラスをかけて(変装のつもりで
しょうか)隠れるようにタバコを吸っていました。こうした光景を見ると、タバコはもう人前では平然と吸えないよう
です。アメリカ人の合言葉ように「やめられない人はレベルの低い人だ」の状況になりつつある現状を実感しま
した。 ここには、タバコの自動販売機を全く見かけませんが、やっと、中国人が経営している食料品などを扱う
小さなコンビニでタバコの対面販売をしている現場を見つけました。売る場所には必ず、レジ係りが控える場所の
背後にありました。タバコの値段は高くて、最低9ドル50セントから16ドルまでありました。日本のマイルドセブン
は9ドル95セントでした。マイルドセブンを一箱買うと、1ドル83円ですので、約830円を支払うことになります。

日本もタバコを青少年たちが買わないように自動販売機を無くすと同時に、多くの日本人の方の生命を救う
ために、是非とも早急に日本のタバコの値段を
1000円近くに上げるべきだと思いました。



鹿児島市 故市来英雄先生からの寄稿文
 2006年1月
(市来先生のご厚意による情報提供。趣旨を変えることなく編集いたしました)  
2006年1月  禁煙席ネット主宰 宮本順伯
記事の無断転載禁止
「禁煙席ネット」へのリンクは自由


   弔辞 
2013年7月27日に禁煙活動をされていた先駆者、鹿児島の市来英雄先生がお亡くなりになりました。
        享年74歳です。心からご冥福をお祈りします。


 
ニュージランド喫煙規制検証の旅 ・・宮本順伯(2006年12月旅行)
 ニュージランドのコロナウイルス対策


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